- 第1問(こどもの権利擁護に関する近年の動向)
- 第2問(児童の権利に関する条約)
- 第3問(不適切な養育環境が及ぼすこどもへの影響)
- 第4問(虐待等を受けたこどもへの支援)
- 第5問(こどもや家庭の支援における組織の役割)
- 第6問(ユニセフ「災害時における子どもの心のケア」)
- 第7問(事例:外国にルーツを持つこどもに対する支援)
- 第8問(ヤングケアラー)
- 第9問(統計:国民生活基礎調査)
- 第10問(事例:ひとり親の入院中の支援)
- 第11問(児童福祉法改正)
- 第12問(子ども・若者育成支援推進法)
- 第13問(法律の目的と対象者)
- 第14問(児童相談所)
- 第15問(事例:孤立感を抱える転入者に対する支援)
- 第16問(社会的養護におけるケアの種類)
- 第17問(児童自立生活援助事業の対象者)
- 第18問(社会的養護に関わる専門職の役割)
問題6
ユニセフの示す「災害時における子どもの心のケア」(注)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 災害時には、家庭で生活する子どもについては保護者から積極的に分離し、一時保護を加える。
- 災害時の心理的負担に対する反応は、どの子どもも同じであるという前提に立ち、支援を行う。
- 持続する災害に対応できるようにするため、子どもが緊張感を解かないように随時口頭で指導を行う。
- 被災地の映像を定期的に見ることで、状況に適応する力を育む。
- 本来子どもたちが持っている「強み」にも目を向け、その力を信じて、寄り添うことが大切である。
正答:5
1 × 災害時の子どもには安心感が必要ですので、家族で一緒にいる時間を増やせるようにします。
2 × 発達段階により災害の受け止め方も異なりますので、個別的な対応が必要です。
3 × 災害時には、子どもに安心感を与えるため、簡単なことばで穏やかに声かけをします。
4 × 感情移入をしすぎたり、大きな衝撃をうけることがあるため、被災地の映像をくりかえし見せてはいけません。
5 ○ 子どもは自分で回復する力を持っているため、大人は安心感を与え、自ら回復しようとする姿を見守りましょう。
ポイント
「災害時における子どもの心のケア」は、「災害時の子どもの心のケア」としてウェブサイト上でみられるものだと思われますが、災害時に子どもたちの心のケアを行うための、4つのポイントがまとめられています。
- 「安心感」を与える
- 「日常」を取り戻すことを助ける
- 被災地の映像を繰り返し見せない
- 子どもは自ら回復する力があることを理解し、見守る
子どもが感じる大きな不安に対し、身近な大人が安心感を与え、日常を取り戻す助けとなる関りをおこなっていきましょう。
問題7
事例文を読み、この時点でこども家庭センターのソーシャルワーカーが行う、保育園の園長への対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
【事例文】
こども家庭センターに、保育園の園長より「Aちゃん(4歳)の母親が心配だ」との連絡があった。園長の話によると、Aちゃんの両親は外国籍である。父親は以前から日本で働いており、1年前に母親とAちゃんが来日した。母親はAちゃんの迎えの際に感情的に叱る場面がよくみられる。Aちゃんは保育所になじみ、日本語も理解しているが、母親は日本語をほぼ理解しない。Aちゃんが「お母さんがたくさん泣いてる」と話したため、父親に話を聴くと「妻は心の状態が安定していない。日本には知り合いがおらず、母国と違う生活が辛いみたいだ。自分は帰りが遅く、十分には子育てができていない」とのことだった。
- 個人情報保護の観点から、通訳は利用しないで支援を検討するよう依頼する。
- 「同じ国出身の保護者が過去にいれば、その保護者と同じ支援を行うことが有効ですよ」とアドバイスする。
- これまでに収集できた情報を整理して、こども家庭センターと一緒にアセスメントをすることを提案する。
- 父親によるネグレクト事例として、「一時保護も視野に入れた対応をしていきましょう」と強く主張する。
- 保育所等訪問支援を利用して、母親に対するカウンセリングの機会を確保するようアドバイスする。
正答:3
1 × 事例文に「母親は日本語をほぼ理解しない」とあります。通訳を利用することは、バリアフリーを保障する観点からも重要です。
2 × 家庭に生じる課題は個別性が高いため、過去にAちゃんの母親と同じ国出身の保護者がいたとしても、必要な支援が同じであるとは限りません。
3 ○ こども家庭センターは、保育所等の地域子育て相談機関と連携し、支援を要するこどもの把握・情報提供、調査・指導を担い、様々な地域の社会資源に繋ぐ役割がありますので、保育所とこども家庭センターが一緒にアセスメントを行うことは適切です。
4 × 父親が「自分は帰りが遅く、十分には子育てができていない」と発言していますが、この時点ではネグレクトとまでは言えません。しかしながら、感情的に叱っているのは母親ですので、心理的虐待にあたる可能性はあります。
5 × 保育所等訪問支援は、専門職が保育所等のこどもが集団生活を行う施設を訪問して、集団生活への適応のための支援を提供するサービスを指します。母親に対するカウンセリングは行いません。
ポイント
こども家庭センターは自治体の機関ですので、バリアフリーや合理的配慮の十分な提供が求められます。また、それぞれの制度の概要や、虐待の種類と要件について把握していれば、消去法でも正答にたどり着くことができる、ベーシックな問題といえます。
今後も、制度名を入れ替えて、類似問題が出題されると思いますので、制度の内容と対象者を、ざっくり把握しておくことで、確実な得点源とすることができます。
問題8
ヤングケアラー(注)への支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ヤングケアラー本人を介護の担い手としてみなした上で、家族全体をどのように支援するかを検討する。
- ヤングケアラーに対して、家族療法による親子関係の再構築が必要な場合には子育て世帯訪問支援事業の利用を検討する。
- ヤングケアラーの罪障感を強めるので、レスパイトケアは利用しないことを原則とする。
- ヤングケアラーになっていると、本人が批判的に受け止められるようになることに重点をおいて、初期の支援を展開する。
- ヤングケアラー同士がつながりをもてる場を作ることも視野に入れて、支援を展開する。
(注)「ヤングケアラー」とは、家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者のことである。
正答:5
1 × ヤングケアラーとは、本来大人が行うべき家事や家族の介護を、過度に行っているこどもを指します。こどもを介護の担い手とみなすのではなく、介護負担の軽減を考えながら、ケア内容の変化も考慮に入れた支援を行っていきます。
2 × 「子育て世帯訪問支援事業」は、支援を必要とするこどもの保護者に対し、家事支援、育児・養育支援、傾聴、相談を提供するものです。家族療法のような専門的な内容を実施するものではありません。
3 × ヤングケアラーは、家事や家族の介護ために、学校生活や健康状態への悪影響が出ている場合が多いので、本人の希望にもよりますが、ケアから離れる時間や空間を確保する意味でも、レスパイトケアは重要です。
4 × ヤングケアラーは、自分が家族の役に立っているという誇りを持っている場合もあります。本人の誇りや自尊心に配慮しつつも、サポート体制を整えるための情報提供を行っていきます。
5 ○ ヤングケアラーに対する支援プログラムとして、ヤングケアラー同士の相互ネットワークを構築するため、ピアグループやオンラインコミュニティなどの輪が広がりつつあります。
ポイント
家族がケアが必要な状態になることは、誰にでも起こりうることです。それゆえに、ヤングケアラー自身が、ヤングケアラーになっていると気づいていない場合も多くあります。
家族が助け合うことはとても尊いことではありますが、過度の責任や負担のために、こどもや若者が心身の健康を損なったり、さまざまなことを諦めなければならないことが問題なのです。
家族を支えたい、助けたいというケアラーの思いにも配慮しながら、介護負担を社会的に分散していくことと、経験や感情の分かちあいができるような居場所とつながることなどが求められます。
問題9
「2022(令和4)年国民生活基礎調査」(厚生労働省)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 「児童のいる世帯」は、全世帯の約30%を占めている。
- 「児童のいる世帯」の平均児童数は、2.0人を下回っている。
- 「母子世帯」は「父子世帯」の約2倍の世帯数となっている。
- 「ひとり親と未婚の子のみの世帯」の約20%を占めている。
- 「三世代世帯」は、「児童のいる世帯」の約30%を占めている。
正答:2
1 × 「児童のいる世帯」が、全世帯に占める割合は約18.3%です。
2 ○ 「児童のいる世帯」の平均児童数は、約1.66人となっていますので、選択肢の通り2.0人を下回っています。
3 × 「母子世帯」は約56.5万世帯、「父子世帯」は約7.5万世帯ですので、約7.5倍の世帯数です。
4 × 「ひとり親と未婚の子のみの世帯」が、「児童のいる世帯」に占める割合は約6.3%です。
5 × 「三世代世帯」が、「児童のいる世帯」に占める割合は約11.1%です。
ポイント
統計問題です。
知らない数値が問われた場合は、すでに知っている内容と矛盾の無い選択肢を選びましょう。
たとえば、日本の高齢化率は約30%。年少人口は、高齢人口より少ないですから、肢1は誤り。
また、合計特殊出生率も2.0を下回って久しいですので、1世帯に2.0人以上の児童がいるとは考えにくいです。
このように、選択肢をひとつひとつ丁寧に検討し、既知のデータと不一致なものを除いていくことが大切です。
問題10
事例文を読み、こども家庭センターのCソーシャルワーカーがこの時点で利用を提案する支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。
【事例文】
Bさんは夫と離婚し、ひとりで5歳と3歳になるふたりの子どもを育てている。ある時、Bさんは病気療養のため、1週間程度の入院をすることになった。入院に先立って、Bさんは「ふたりの子どもを預かってもらえないか」と、こども家庭センターに相談の電話をかけてきた。そこで、Cソーシャルワーカーが対応した。
- 居宅訪問型児童発達支援
- 子どもの学習・生活支援事業
- 児童育成支援拠点事業
- 子育て短期支援事業
- 母子・父子休養ホーム
正答:4
ポイント